絵本『悪い本』(文:宮部みゆき/絵:吉田尚令)は、岩崎書店の「怪談えほん」シリーズ第一作として刊行された名作です。タイトルの通り、この本の語り手は”悪い本そのもの”。読む人の心の奥にひそむ”悪”をそっと刺激するような、静かで美しく、底知れない怖さを持つ一冊です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 悪い本 |
| 作者 | 宮部みゆき(文)・吉田尚令(絵) |
| 出版社 | 岩崎書店 |
| 対象年齢 | 小学生〜大人 |
| ページ数 | 32ページ |
あらすじ(ネタバレなし)
「わたしは悪い本です。あなたの心の中に入ってきます。」——語り手は本そのもの。読む人に語りかけてくるその声は、静かなのに不気味で、読み進めるほどに「本当にこの本を読み続けていいのか?」という不安が湧いてきます。
人間の心の中にある”悪”の部分を、絵本という形で描いた画期的な作品です。子ども向けの怪談えほんでありながら、大人の心にこそ深く刺さる内容を持っています。
宮部みゆきならではの巧みな語り口と、吉田尚令の美しくも不気味な絵が組み合わさった、怪談えほんシリーズの原点にして頂点とも言える傑作です。
ぼく「悪い本」ってタイトルが怖い。本が自分でしゃべるって、どういうこと?



不思議だよね。「本が語りかけてくる」という発想自体が怖いんだよ。宮部みゆきさんは大人向けの怖い小説も書く人だから、絵本でもその世界観が出ているよ。
パパ目線の感想・体験談
怪談えほんシリーズ第一作ということで、「どんな怖さなのか」と興味を持って手に取りました。読み始めた瞬間から「本が語りかけてくる」という設定に引き込まれました。
息子と読んだ際、「これ本当に悪い本なの?」と真剣な顔で聞かれました。「本の語り手が悪いのか、それとも読んでいる自分の中に悪があるのか」——そんな哲学的な問いを持ちながら読める絵本は、怪談えほんシリーズの中でも特別な存在です。
大人が子どもと一緒に読むことで、「善と悪」「心の中にある闇」について対話できる。そういった深いテーマを扱いながら怪談として楽しめる点が、この作品の最大の魅力です。
こんな子におすすめ
- 怪談えほんシリーズをコンプリートしたい子
- 本や読書が好きな子(本が怖くなる体験を)
- 宮部みゆきファンの大人
- 善と悪について考えさせたい時
- 小学校高学年以上のホラー好きに
読み聞かせのポイント
「わたしは悪い本です」という冒頭は、ゆっくりと低いトーンで読んでください。本が語りかけてくる設定なので、まるで本が喋っているかのように読むと効果絶大です。
読み終わった後に「あなたは悪いことを考えたことがある?」と聞くのではなく、「悪い本を読んだのに、なぜわたしたちは最後まで読んだんだろう?」と哲学的な問いかけをしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 何歳から読めますか?
小学生からが目安です。内容が抽象的で哲学的なため、幼児には理解が難しい部分があります。大人が一緒に読んで補足しながら読むのがおすすめです。
Q2. 怪談えほんシリーズの中でどれくらい怖いですか?
ビジュアル的な怖さよりも概念的な怖さが上位クラスです。「読んでいる自分の心に語りかけてくる」という怖さは、他のシリーズ作品とは一線を画しています。
Q3. 怪談えほんシリーズの入門として適していますか?
シリーズ第一作ですが、入門としては「いるのいないの」の方が分かりやすいです。この作品は抽象的なテーマなので、シリーズに慣れてから読む方が味わい深いです。
まとめ
『悪い本』は、怪談えほんシリーズの原点にして最も哲学的な作品です。宮部みゆきの語り口と吉田尚令の絵が生み出す世界は、読後も長く心に残ります。
子どもと一緒に「善と悪」について深く話し合える、教育的価値の高い怪談絵本です。ぜひ怪談えほんシリーズの一冊として手に取ってみてください。



怪談えほんシリーズを読んできて、この「悪い本」は特別な存在だと感じます。怖い怪談絵本であり、哲学的な絵本でもある。宮部みゆきさんの才能が絵本という形で開花した傑作です。
