夏休み、田舎の静かな夜。川のせせらぎに混じって、もしも「しょきしょき」という音が聞こえてきたら……。
今回は、現代の怪談の名手・京極夏彦さんと、圧倒的な描写力で知られる町田尚子さんがタッグを組んだ「妖怪えほん」シリーズの一冊、『あずきとぎ』をご紹介します。
正直に言います。この絵本、パパの僕でも夜の川に近づけなくなるくらい怖いです(笑)。でも、なぜか何度も開きたくなる不思議な魅力があるんです。
📖 この絵本との出会い
本屋さんで「妖怪えほん」のコーナーを見つけたとき、息子が「これ、絵がすごい…」と足を止めたのがきっかけでした。町田尚子さんの描くどこか懐かしく、でも不気味な田舎の風景に一瞬で引き込まれました。
京極夏彦さんの「怖」の巻ということで覚悟はしていましたが、表紙の「あずきとぎ」と目が合った瞬間、親子で「あ、これ本気で怖いやつだ」と直感しました。
📚 こんな場面におすすめ
- 🌌 夏休みの夜、ちょっとしたスリルを味わいたいとき
- 🧑🧒 親子でゾクゾクする体験を共有したいとき
- 💭 想像力をかき立てる「読後感」を楽しみたいとき
- 📚 圧倒的に美しい(そして不気味な)絵を堪能したいとき
📘 絵本の内容
舞台は夏休みに遊びに行った、おじいちゃんの家。
家の裏を流れる川から、不思議な音が聞こえてきます。
「しょき しょき しょき……」
おじいちゃんは言います。「ありゃあ、あずきとぎだ。あずきを洗って、人を捕って食うのさ」。
最初は信じていなかった男の子ですが、ある日、吸い寄せられるように一人で川へと向かってしまいます。
薄暗い川べりで、ついに目撃してしまった「あずきとぎ」の正体。
そして物語の最後、静寂を切り裂く「どぼん」という音。
男の子はどうなったのか? 読み終わった後、部屋の隅が怖くなるような、極上の恐怖が待っています。
パパ大人が読んでも、この「質感」はすごいです。
町田さんの描く川の水の冷たさや、湿った空気感がページから伝わってくるようです。
特に、直接的な残酷描写があるわけではないのに、「音」と「想像力」だけで追い詰めてくる演出は流石の一言。最後の一文を読み終えた瞬間、息子と二人で顔を見合わせて「……えっ?」と固まってしまいました。あの「どぼん」の後の空白をどう解釈するか、親子の会話が止まらなくなります。



「最初は、おじいちゃんがウソついてるんだと思った。でも、川の音がだんだん大きくなってくるところが、心臓がバクバクしたよ。
あずきとぎにみられてる感じがして怖かった。最後の『どぼん』は、男の子が落ちたのかな? それとも妖怪が飛び込んだのかな?
怖すぎて一人じゃ読めない……!
⭐ 絵本レビュー評価
| 項目 | 評価 | 備考 |
|---|---|---|
| 怖さ度 | ★★★★★ | 文句なしの満点。トラウマ級です。 |
| 絵の美しさ | ★★★★★ | 町田尚子さんの絵が芸術的。 |
| 読み聞かせやすさ | ★★★★☆ | リズムが良いので読みやすいです。 |
| 子どもの食いつき | ★★★★★ | 怖がりながらも夢中になります。 |
💡 結局、この絵本の何がすごいの?
音の演出と、あえて「答え」を書かない恐怖の余白。
「しょきしょき」という擬音が頭から離れなくなり、最後の「どぼん」で読者の想像力を爆発させる、京極夏彦さんの構成力が圧倒的です。
🔍 まとめ
『あずきとぎ』は、単なる子供向けの妖怪図鑑ではありません。
「知らないものに対する根源的な恐怖」を呼び起こしてくれる、大人も満足できる一冊です。
夏休みの思い出に、親子で震えながらページをめくってみてはいかがでしょうか?
ただし、読み終わった後に川の音が聞こえてきても、決して覗き込んではいけませんよ。
📝 絵本データ
- タイトル:あずきとぎ(京極夏彦の妖怪えほん)
- 作:京極夏彦
- 絵:町田尚子
- 編:東雅夫
- 出版社:岩崎書店
- 対象年齢:小学校低学年~(大人にもおすすめ!)
