絵本『ざしき童子のはなし』は、宮沢賢治の童話を絵本化した作品です。
「ざしき童子(わらし)」という東北地方に伝わる神秘的な存在を通して、
見えないものを信じる心、やさしさや幸福の形をそっと語りかけてくれる物語です。
静かで美しい語り口と幻想的な挿絵が心に残る、親子で味わいたい一冊です。
📖 この絵本との出会い
図書館の「日本の名作童話コーナー」で見つけた一冊。
息子が「ざしきわらしってなに?」と首をかしげたことから読み始めました。
読み進めると、目に見えない“しあわせ”や“やさしさ”を感じ取れる内容に、親子で引き込まれました。
昔話のようでいて、どこか現代にも通じる深いメッセージがありました。
📚 こんな場面におすすめ
- 🏠 日本の昔話や民話に興味を持ち始めた子どもに
- 💫 目に見えない存在や“思いやり”を感じてほしいとき
- 👨👩👦 親子で「幸せとは何か」を話したいときに
- ✍️ 宮沢賢治作品に初めて触れる読書感想文にも
📘 絵本の内容
ざしき童子は、家に幸せをもたらすといわれる子どもの姿の精霊。
人によっては見える人もいれば、まったく見えない人もいます。
物語の中で主人は、ざしき童子が本当にいたのかどうかを確かめようとしますが、
結局、その姿をはっきりと見ることはできません。けれども、心の中に残るぬくもりや静かな幸福感が、「ざしき童子」の存在を確かに感じさせてくれます。
岩手県の伝承をもとにした4つの短いオムニバス形式の物語になっており、美しい絵と淡々とした語りで、子どもたちの遊びに座敷童が紛れ込むエピソード、家の守り神としての側面などが描かれています。

このお話は、子どものころに読んだときと、親になってから読んだときでまったく違って感じました。
昔は“こわい話”だと思っていたけれど、今は見えないけれど確かにある幸せを描いていると感じます。
静かな絵本ですが、読後に心がじんわり温かくなりました。

ざしきわらしってちょっとこわいけど、ほんとうはやさしいのかも。
見えなくても、いいことをしてくれるってすごい!
ぼくの家にも来てくれたらいいなと思った。難しい言葉がたくさん出てきたけど、ぱぱに聞きながら読んだよ。
⭐ 絵本レビュー評価(5段階)
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 内容のわかりやすさ | ★★★★☆ | 幻想的だが、語りがやさしく子どもにも伝わる |
| イラスト・デザイン | ★★★★★ | 昔話の世界を丁寧に表現した美しい挿絵 |
| 子どもの共感度 | ★★★★☆ | “見えないけれどいるかもしれない”というワクワク感 |
| 学び・教養の深さ | ★★★★★ | 宮沢賢治の精神性に触れられる |
| 親子で楽しめる度 | ★★★★★ | 読み聞かせにもぴったり。静かな夜におすすめ。 |
🔍 まとめ
『ざしき童子のはなし』は、宮沢賢治が伝えた“見えないものを信じる心”を感じられる絵本です。
派手さはありませんが、読み終えた後の静かな余韻が心に残ります。宮沢賢治らしい幻想的な語りとやさしい余韻が心に残る名作です。
親子で読むと、「やさしさ」「思いやり」「幸せとは何か」を自然に語り合えるでしょう。
日本の美しい心や言葉にふれる図書としておすすめです。
📝 絵本データ
- 書名:ざしき童子のはなし
- 原作:宮沢賢治
- 発行年:原作1934年/絵本版2000年代刊行
- ジャンル:日本の名作童話・民話絵本



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