『こわい おはなし あかい さんりんしゃ』は、犬飼由美恵(文)・中島梨絵(絵)による怪談絵本。 どこにでもある日常の風景に突如あらわれる赤い三輪車の女の子。 その“いつの間にかそこにいる怖さ”がじわじわと迫ってくる、怪談入門としても優秀な一冊です。
📖 この絵本との出会い
怪談絵本シリーズを読み進めていたときに、息子が「さんりんしゃの音がこわそう…」と言って手に取りました。 表紙からすでに不穏な雰囲気があり、親子で「これはくるぞ…」と思いながら読み始めました。
読み進めると、“音”が怖さを作っていく絵本であることに気づきます。 「きいこ きいこ」と鳴る三輪車の音が、ページをめくるたびに距離を縮めてくるようで、息子は思わず肩をすくめていました。 「なんで追いかけてくるの!?」と息子が半泣きで言いながら、でも最後まで読まずにはいられない… そんな“やめたいのに読みたい”タイプの怖さが魅力の絵本です。
📚 こんな場面におすすめ
- 👻 はじめて怪談絵本を読む子に
- 🎒 小学校低学年でも楽しめる適度な怖さ
- 🚲 日常が“少しズレる”タイプの怪談が好きな方に
- 🌙 夏の夜や読み聞かせイベントにも◎
🚲 あらすじ・内容
主人公の男の子「ぼく」が、いつも通る帰り道で出会ったのは、 赤い三輪車に乗った知らない女の子。 彼女は声も発さず、ただ“きいこ きいこ”と三輪車をこぎ続けています。
それ以来、 ・学校にいても ・公園にいても ・家にいても どこからともなく三輪車の音が聞こえ、ふり返ると女の子がじっとこちらを見て立っています。
「なんでぼくの後をついてくるの?」 その理由がまったくわからないまま、不安はじわじわと恐怖へ変わっていきます。
周りの人には見えているのか、誰にも見えていないのか。 その曖昧さが読者の想像をかき立て、 “説明されない怖さ”として最後まで緊張感が続く構成です。

この絵本の怖さは、派手な演出ではなく 「日常に入り込んでくる異物」 というじわじわした恐怖にあります。 子どもが「三輪車の音がずっと聞こえる気がする…」と言って、読後しばらく耳をすませていたのが印象的です。
シンプルな文章と、中島梨絵さんの静かで不穏なイラストが見事にマッチしていて、 小学生でも“大人と同じ怖さ”を共有できるタイプの作品だと感じました。

さんりんしゃの「きいこ きいこ」って音がほんとうにこわかった。 どこに行ってもいるのがいやだったけど、つづきが気になってよんじゃった。 あの女の子がなんでいたのか、もういちどよみたくなる!
⭐ 絵本レビュー評価(5段階)
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 怖さ | ★★★★★ | 音が追いかけてくる恐怖が強烈。 |
| イラストの雰囲気 | ★★★★★ | 静かで不気味な色使いが秀逸。 |
| 子どもの反応 | ★★★★☆ | 怖いけど読みたいという“クセになる怖さ”。 |
| 読みやすさ | ★★★★★ | 文字量少なめで低学年でも読める。 |
| 怪談入門度 | ★★★★★ | 初めての怪談にちょうどいいレベル。 |
🔍 まとめ
『こわい おはなし あかい さんりんしゃ』は、 “いつの間にか後ろにいる恐怖”を丁寧に描いた怪談絵本です。 日常の風景の中で起きる異変だからこそ、子どもも大人も同じようにゾクッとします。
読みやすい文章量で、小学校低学年から読める怪談入門としても最適。 夏の読書や親子の“ちょい怖体験”にぴったりの作品です。
📝 絵本データ
- 書名:こわい おはなし あかい さんりんしゃ
- 文:犬飼由美恵
- 絵:中島梨絵
- 対象年齢:小学校低学年〜
- ジャンル:怪談/ホラー/不思議



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